(起業9)決算書にはどのようなものがあるか

(起業9)決算書にはどのようなものがあるか

事業活動を行う組織は、どのような形態であろうとも、少なくとも1年に1回、決算を行わなければなりません(上場会社は四半期決算をしています)。決算書を作成するとともに、監督官庁や銀行、そして税務署等に報告を行う必要があるからです。

古くは東インド会社において株主のために決算報告を行ったという記録があります。

決算書には、貸借対照表と損益計算書等があります。
貸借対照表は「期末日現在の財政状態」を表す書類であり、損益計算書は「1年間の経営成績」を表す書類です。

貸借対照表は、組織の資産、負債、資本を表示し、損益計算書はいくらの売上高があったのか、それを得るために要した売上原価、販売費及び一般管理費はいくらであったのか、そして得られ営業利益はいくらであったのかを示します。さらに、財務損益である営業外損益を考慮し税引き前当期利益を表示します。

貸借対照表と損益計算書は、簿記というルールを使い、会計処理を行うことで作成されます。会計の記録方法には単式簿記と複式簿記があります。貸借対照表と損益計算書は、複式簿記でつくられています。

イタリアの著名な数学者で、かつ世界最初の印刷された複式簿記の著者であるルカパチオリが1494年に書した書籍『ズンマ』で「計算および記録に関する詳説」に複式簿記の原型ができたといわれています。

さて、ここで単式簿記(たんしきぼき)は、簿記的取引をただ一つの会計表に記録・集計する方法のことをいいます。資金の収支を重視し、財産・債務については収支の結果とする簿記方法です。
身近な例でいえば、家計簿が単式簿記を利用しています。現金の動きを記載することで、資金の収支だけを記載します。単式簿記では、事業に利用しませんから、損益を出す必要はありませんし、現在どのくらい資産があり、どれほど負債があるのかについては自動的には明らかになりません。現金を何のためにいくら使ったかという記録があるだけです。

それに対して、複式簿記(ふくしきぼき)は、すべての簿記的取引を、資産、負債、資本、費用又は収益のいずれかに属する勘定科目を用いて借方(左側)と貸方(右側)に同じ金額を記入する仕訳(しわけ)と呼ばれる手法により、貸借平均の原理に基づいて組織的に記録・計算・整理する方法のことをいいます。

 少し難しい話になりましたが、先ずは、貸借対照表の借方(左側)には資産があり、貸方(右側)には負債と資本が表示されていること、そして損益計算書は前述したように上から、売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益、営業外収益、営業外費用、そして通常は税金を控除したのち当期利益が表示されることを理解しておくと便利だと思います。

 組織の貸借対照表と損益計算書を理解していれば、キャッシュフローの考え方もわかりますし、そもそも、調達(貸借対照表の貸方)した資金を運用(貸借対照表の借方)し、事業活動を行い利益(損益計算書の貸方−借方)やキャッシュ(簡易的には税引き後当期利益プラス減価償却費)を生み出す事業の流れをすべて証跡を以って明らかにできます。

 なお、短期利益計画(損益分岐点分析由来)のためには直接損益計算(変動費と固定費への分解)が必要になります。決算書は、事業評価はできますが、将来損益予測には弱い事を付け加えておきます。どこかで説明します。

                                             (出典:よい病院よくない病院の見分け方 はてなブログ、石井友二)