(起業)どうしたらやる気になれるか

(起業)どうしたらやる気になれるか

 人はどのようなときに率先して働きたくなるのでしょうか。
学校を卒業すると、生活のため、お金が必要になります。金銭により働く動機が生まれるのは当然のことです。しかし、同じ働くなら興味のある仕事に就きたいと思うもの当然です。どうしても好きになれない仕事に就きたくないのは心理でしょう。

 しかし、どうしてもお金のために、やりたくない仕事をしなければならないこともあります。好きな仕事や、将来の夢のために今の仕事があるのであれば、その仕事をしたくないことはありえないので、まずここでは「やりたくない仕事をしなければならないとき」について考えることが必要です。

 どのような仕事でも、自分に向いていないという思いに捕らわれれば、また、自分が他にやりたいことがあるのに、そこに行けない事実があれば、今の仕事に身が入らないのはよくわかります。自分の経験でもそれはありました。

 ただ、仕事は一生それを選択しなければならないわけではなく、今の仕事は次のステップであると考えることができます。事実、いくらでもそのチャンスはあります。次の仕事のために、何をすべきか明確にして準備することができるかできないかで、次に行けるかどうかが決まります。

 何をすべきか明確にして準備する。当たり前のことのようですが、なかなかできないですよね。必要な知識を身に着けたり、技術を習得すること、また、資格をとることなどが準備として行われなければなりません。

 新しい仕事に就きたいと思う意欲や意志があれば、それはできますし、思いが強く、信念があればさらにその時期は早くなります。環境や他人のせいにするのではなく、自分が努力できるかどうかにかかっているのです。

 ここで重要なことがあります。今の仕事と新しい仕事の業種が変わっても、実は変わらないことがあります。フリーターとして、一人で行う仕事以外は、あるいはその仕事ですら、多くの仕事は共通することがある、ということです。

 社会で、仕事は一人ではできません。仕事は、多くの人との関係のなかで成立し、また組織の運営のなかで行われます。それらは飲食でもサービス業でも、流通業でも、メーカーでも、ITでも皆同じことと気付かなければなりません。

 戦略を立て、仕組みをつくり、目標化し、従業員の役割を決め、組織が協力して動くことで成果を挙げる。
売上があり経費があって、利益を出して組織を継続することは皆同じです。

 どの仕事に就こうと、同じことが必要な部分があるのであれば、今の仕事をしながら、仕事共通の事項はいくらでも学ぶことができます。
上司と自分の関係をどのようにつくるのか、仲間とのコミュニケーションの取り方、取引先とどう付き合い、また仕入れや売り上げの立て方、資金をどのように調達し、廻すのか、どのように業務を標準化し、IT化し、また業務改善しながら生産性を上げていけばよいのか、学ぶところはたくさんあり、何をしても必ず役に立つことばかりなのだと思い直すことが必要なのです。

 このように考え、今の仕事から何を学ぶのかを決めて、よくみてみると知らないことも多く、またそれらを習得すれば、将来必ず役に立つことに満ち溢れていることに驚くはずです。いまの仕事はムダになるどころか、とても役に立つのです。

 今の仕事をよく分ろうとする間に、いろいろなことが分かるようになり、また、理解できるようになれば、仕事への取組みも変わるし、面白いことも分かってきます。
次のステップに進むとしても、その前に、今の仕事で学び、成長することができるのです。今の仕事が面白くなり、工夫をしている間に、今やっていることを時代に合った仕事へと変えていくこともできるようになります。

 今の仕事で成し遂げるものがあれば、次の仕事の自信になるし、また、次の仕事への道を変更し、今の仕事のイニシアティブをとりながら、自分なりに仕事を変容させることも生きる道の一つかもしれません。
(1)仕事はどのように行われるのかを自分なりに分析する

(2)一つひとつテーマを決めて、どのようなやり方がベストなのかを想定する

(3)知識や経験により、それらを習得する

(4)どうすれば、今の仕事のなかでより良い成果をあげていけるのかを考える

(5)考えたことを実行し、試行錯誤しながら結果を出す
という仕事をしてみることが良いと思います。

 間違いなく、仕事のコツ、上手いやり方をつかむことができます。自分が得意なことも不得意なこともわかってきます。自分でやることと、他人に任せることも学べます。どうすれば上司や仲間は動いてくれるのかもわかるようになります。

 このやり方は、ある意味トレーニングであり、修行であるかもしれません。良い人間ばかりがいるわけではないからです。自分の思いや信念、技術力や人間性、コミュニケーション能力が試される世界です。しかし、ここを乗り越えることができれば、一つ成し遂げて達成感を得ることができます。もちろん客観的な評価も必要ですが、自分に力が付いたことを実感することができます。

 この達成感や満足感を以て、次のステップに進むことが大事です。すべてを他人のせいにせず、自責として行動し続けることから、やる気に満ちた、新しい自分を生みだすことができます。
 なお、今何をしたいかわからないけれども、今の仕事は好きではない、やる気にならない、という状況にあっても上記の考え方は有効です。結局は今の仕事から学びつつ、やりたいことを捜すプロセスで、今の仕事に意味をもたせるところから始めることが有益です。

 さて、ここまでは働く人からみて、仕事をどうとらえ、やる気になるのかという説明をしました。次回は、組織として、人はこういうものだという理解をしたうえで、どのようにやる気になってもらうのか、やる気を削がないようにできるか、彼らの力を引き出し、組織として成果をあげていくのかについて考えてみたいと思います。